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羽根田 治・他(著)『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』(ヤマケイ文庫、2012年)


自称「しがないヤメ検」落合洋司弁護士が書評?を書いていたので、

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

買ってみました。

この事件、3年前に大々的に報道されたので、ご存じの方が多いと思います。2009年7月16日、北海道大雪山系トムラウシ山で18人のツアー登山者(うち3人はガイド)が、暴風雨のため遭難し、うち8人が低体温症で死亡しました。

著者は羽根田 治、飯田 肇、金田正樹、山本正嘉の4人で、「第1章 大量遭難」(羽根田)、「第2章 証言」、「第3章 気象遭難」(飯田)、「第4章 低体温症」(金田)、「第5章 運動生理学」(山本)、「第6章 ツアー登山」(羽根田)の6章からなっています。第1章は事件の全体像を時系列に説明し、第2章はこの事件でサブガイドを務めていた山崎勇さんへのインタビュー、第2~5章はそれぞれ専門的な立場からの事件の考察、第6章はツアー登山の問題点といった内容です。

オイラが気になったのは、第6章のツアー登山の問題点です。著者の一人羽根田は、「本来、登山というのは、信頼できるリーダーのもとにメンバーが集まってパーティを組み、計画を立て、必要な装備をそろえ、実際の現場ではメンバーが協力し合って行動し、万一のアクシデントにも臨機応変に対処しながら無事下山してくるもの」で、「その根底には“自己責任”という考え方がある」。しかし、ツアー登山は、「自分たちが計画立案に参加することなく、他人がつくったプランに100パーセント依存し、初めて会う人たちといきなりパーティを組み、信頼できるかどうかわからないガイドに連れられて山に登る」ことなので、「かつてはとても考えられなかった」と評しています。

そして、ツアー登山はツアー会社とツアー参加者との間で結ばれた旅行契約にしたがって実施されますが、この契約には「安全配慮義務」と「旅程保証義務」があります。参加者の安全に配慮するのが「安全配慮義務」で、計画どおりの日程でツアーを行うのが「旅程保証義務」です。そして、「安全配慮義務」よりも「旅程保証義務」を優先させた結果、遭難事故が起きたしまったのです。

オイラは、自分の生命を他人に「お任せ」する気はさらさらないので、登山をしていたころは、自分で計画を立て、自分で装備をそろえ、そのときの状態に合わせて自分で決定して行動していました。そして、もし、オイラが、ツアー登山に参加するのなら、「旅程保証義務」よりも「安全配慮義務」を優先させる会社やガイドに信頼を寄せるでしょう。

ところが、生き残った8人の登山者うち、著者たちの取材に協力した6人のうち、1人を除いた、5人が事故を起こした会社が提供するツアー登山を事故後も利用し続けているのです。これには、オイラだけでなく、Amazonの書評でも違和感を感じる人がいたようです。

どうも、オイラとは価値観の異なる登山者が、ツアー登山を楽しんでいることが分かった。そういう本でした。

2012.09.10 | | トラックバック(0) | コメント(2) |