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この日は、稲村尾根で鷹ノ巣山に登り、石尾根を下る予定でした。天気は曇りでしたが、中日原バス停から稲村岩を経て登りはじめると、雷が鳴りはじめました。最初は、遠雷だったのですが、すぐに大きな音をたてはじめました。その音を気にしながら登ったのですが、やがて雨がざあざあ降りはじめました。雨具は持っていたので、それを装着しましたが、標高1350mくらいのところで、30分弱、様子を見るため、とどまっていました。そのとき、中年の男性1人が登ってきて、抜かれました。

雷が弱まり、雨もやんできたので、登山を再開し、山頂に着きました。ここでおそい昼食を食べていると、さっき抜かれた男性が来て、しばらく話をしました。雨が降った後なので、眺望もよくなかったので、そんな話をしたと思います。そのとき、その男性から、さっきまで高齢の男性が山頂にいて、石尾根を下っていったという話を聞きました。
この男性とはここで別れ、私は石尾根を下りました。だんだんと天気が回復してきましたが、雷で時間をロスしたため、ゆっくりはできませんでした。水根山、城山、六ツ石山を経て、三ノ木戸山手前の分岐につきました。ここで登山道は2つに別れ、三ノ木戸山の南側の林道を通って下る道か、山の北側を通る道を選ばなければなりません。前者は前回登山靴のせいで指を痛めたことがあり、後者は杉林でつるつるすべるところがあります。今回は新しい登山靴を履いており、雨が降った後なので前者を通るほうが合理的だったのですが、なぜか後者を選んでしまいました。

案の定、杉林に入ると、登山道が掘れてそこが雨でつるつる滑ります。ストックを使って転ばないように降りていったのですが、不意に「すいません」と呼びかけられました。見ると、高齢の男性が登山道の横にしゃがんでいました。

「そこで転んでしまい、足を傷めてしまいました。すいませんが、携帯を貸してもらえませんか?」と聴かれました。私は携帯をもっていなかったので、「交番まで知らせてもらえませんか?」と頼まれました。見た感じではそれほど大きなケガには見えませんでしたが、複雑骨折していたのです。私が快諾すると、「すいません。連絡先を教えてもらえませんか?」と言いました。ああ、このまま逃げないようにだな、とも思いましたが、あとでお礼なんてことになると面倒なので、電話番号だけ教えました。「水を少しもらえませんか?」と男性。ペットボトルに半分ほどしかお茶が残っていませんでしたが、それを半分くらい彼のペットボトルに入れました。GPSを持っていたので、この場所をウェイトポイントに登録し、あとで捜索のときに役に立つようにしました(結局、これはムダだったのだが…)。

三ノ木戸山の分岐から奥多摩駅まで1時間半でした。私は下りは急がない主義でしたが、今回はそうもしていられません。大急ぎで山を下りました。出発したのが4時45分だったので、だいたい1時間強で山を下り、駅前の派出所に駆け込みました。

事故のあった場所(黄色の×印)


警察官にケガをした男性が救助を待っていると話しました。男性から住所・電話番号など連絡先をメモした紙を預かっていたので、それを提出し、私の住所・電話番号など調書をつくるのに必要な情報を提供しました。

ところが依頼者のいる場所を説明したのですが、警官たちはよくわからないようでした。三ノ木戸山の北側を通る登山道は1本しかないし、杉林が掘れてつるつるすべる場所も他にはないので、わかると思ったのですが…。そこで、GPSで緯度と経度を記録していたので、それを知らせようとしたら、断られました。こういう場合、情報は1つでも多いほうがいいと思うのですが…。

この段階で、私は用済みになり、帰っていいことになりました。すぐに人々が集められたので、すぐに見つけてもらえるな、とこのときは思いました。

家に帰っても、気になるので、この日はなかなか寝られませんでした。深夜11時すぎにケガをしていた男性の妻から連絡があり、救助されたのを知りました。しかし、私が捻挫くらいだと思っていたケガが複雑骨折であったこと、すぐに見つかると思っていた男性がなかなか見つからず、結局ヘリまで飛ばして探したことなどを知り、驚きました。男性の妻は、どうしてもお礼がしたいので住所を教えて欲しいと言ったのですが、山で事故にあったらお互い様ですから、と教えませんでした。

中日原[10:50]―(0:47/0:55)―[11:37]稲村岩[11:44]―(2:38/2:10)―[14:22]鷹巣山[14:44]―(0:16/0:30)―水根山[15:00]―(0:53/1:00)―[15:53]六ツ石山分岐[15:57]―(0:36/0:40)―三ノ木戸山[16:33]―(1:18/1:30*)―奥多摩駅前派出所[17:51]
  場所[出発時]―(実測/想定コースタイム)―[到着時]場所
  * 奥多摩駅までの時間


◎地図(黄色の×印が男性のいた場所)


標高/距離←クリックすると図が開きます。
○距離 14.3km
・鷹ノ巣山 1737m
・水根山 1620m
・城山 1523m
・六ツ石山 1479m
・三ノ木戸山 1177m



今回のことで山が危険だとほんとうに思いました。じつは、これ以来、登山をすることをひかえています。1つは自転車の方がおもしろくなってしまったのですが、事故を目撃して山の危険性に気づいたとも言えます。

山の事故は、登りではなく、下りで起きます。今回のように、足場の悪いところは要チェックです。登山道が掘れてつるつるすべるところ、ガレ場(岩石があるところ。浮石を踏むと転落します)、ザレ場(細かい石や砂があるところ。すべって危険)などがそうです。

私は、自分でいうのもなんですが、用心深いので(笑)、登りはけっこうむちゃなスピードで登りますが、下りはかなりゆっくり降りるようにしています。

ひとりで登るのも危険です(わたしだ!)。今回、たまたま私が通ったのでよかったのですが、三ノ木戸山の分岐で南側を降りたら、彼は一晩そこであかすことになったでしょう。夏なので、凍死することはないでしょうし…。家族は山に登っていることを知ってたでしょうから、警察に連絡するでしょう。でも、そのときは彼が登った登山口から下山する予定のところまで全部が捜査対象になります。さらに、途中で気が変わって、予定外のところを歩いていたら、発見はさらに遅れたでしょう。食べ物は持っていましたが、水がなかったので苦労したと思います。

今回のことで、私がいちばん疑問に思ったのは、GPSで事故のあった場所を知らせようとしたら、警察が断ったことです。2000年5月以前は、GPSの信号には、誤差信号(SA)が含まれていたのですが、それ以降解除されたため、精度が格段に向上しました。受信状態がいいと、誤差は5mくらいです。ほぼピンポイントで場所が特定できます。地図上にその点を示すソフトもあるので、警察などはもっと利用すべきだと思いました。

2005.12.08 | ├ 登山 過去ログ | トラックバック(0) | コメント(0) |












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