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タヌキの疥癬にかんする考察がツイートされていたが、ホントかな?と思うことが多かった。


《ヒゼンダニのメスは産卵の為に皮下脂肪を住処としていて、通常でも体内に寄生していますが、冬越しの為に皮下脂肪量が増えると大量に繁殖します》

ヒゼンダニのメスが住処とするのは角質層。以下の記述は人間の場合だが、タヌキも基本的には同じ。

雌成虫
 体長0.4mm。手首や手のひら、指間、足、肘、腋の下、外陰部などで角質層に横穴を掘り進み(疥癬トンネル)、卵を産みつけます。産卵数は1日2~4個で、4~6週間は卵を産み続けます。

雄成虫
 体長は雌(0.4mm)の約60%。皮膚の表面を歩き回って、処女雌を探して交尾します。

ヒゼンダニの生態



《そんな疥癬症ですが、発症又は悪化してしまう要因の中で外猫の餌を食べてしまったことによる発症・悪化は比較的多いケースとなっています》


《野生の中でそういったいわゆる粗食で生きているタヌキにとって、キャットフードやドッグフードは油分や栄養価が高すぎてしまい、過栄養となって疥癬症の重篤化に繋がってしまうのです》

疫学的調査は行われていないので、たんなる推測であろう。外猫の餌が原因なのは事実だが、理由は栄養過多ではないと思う(後述)。

秋になると、タヌキの体重が1.5倍に増える。これは、木の実を中心とした餌が豊富になり、餌の少ない冬に備えるため。ペットフードが原因なら、タヌキはつねに太っているはず。また、最近のドッグフードやキャットフードは、成人病を恐れる飼い主やメーカーによって、栄養管理がなされている。たとえば、7歳以上になったら老犬・老猫用が用意されている。


《都内でも疥癬症のタヌキが度々目撃されていますが、これは恐らく生ゴミを漁って食べてしまうことで発症・悪化してしまっているのではないかと考えられます》

生ゴミそのものが原因ではなく、別な要因があると思う(後述)。

《キャットフードやドックフード、そして生ゴミというのは、イヌ科で嗅覚の鋭いタヌキにとっては魅惑的な餌となります》

これは9か月近くタヌキを観察したことから言えるが、タヌキは嗅覚で餌を探して来るとは考えられない。餌(ドッグフード)を置いて、すぐ来るときもあれば、半日くらい来ないときもある。その間に、ドブネズミに半分くらい食べられ、トレイルカメラの電池が消耗してしまう。それは、タヌキが「拾い食い」動物で、行き当たりばったりで餌を探しているからであろう。






外猫の餌やりや生ゴミがタヌキの疥癬の流行原因となるのは、ペットフードや生ゴミが栄養過多であることと関係ないと書いたが、オイラは次のように考えている。

ペットに餌をやるとき、人間は地面に撒いたりせず、下図のような容器に入れる。



すると、どうなるかというと、たまたまやって来たタヌキが、餌を食べ始めるが、量が多いので、なかなか食べ終わらず、その間に、つぎのタヌキがやって来て、結果として集まってしまい、接触が起きる。



このときは6匹のタヌキが集まってしまい、餌が少なくなったらケンカとなった。言い訳を書くと、台風19号で河川敷が水没してしまい、土が湿っていたので、直接地面に撒けなかった。かまわず地面にばら撒くか、餌やり自体をやめてしまえばよかったと反省している。

生ゴミも同様で、家庭ゴミをゴミ収集場所に集めて収集するので、ペットの餌と同じように、タヌキが集まってしまい、接触が起きる。

このような接触は自然状態でも起きる。イチョウやカキなどの果樹が実を落とすと、そこにタヌキが集まって来て、接触が起きる。

個体数が増えても、接触の機会が増えるので、疥癬の罹患率が上がる。以下は北海道大学が横浜市で行った疥癬タヌキの疫学調査の結果である。



ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)に感染した野生ホンドタヌキ(Nyctereutes procyonoides)の疫学調査、血清 生化学的性状および治療法に関する研究

保護されるタヌキの数が増えると、疥癬の罹患率が上がる。タヌキの生息数が増えたことで、保護されるタヌキが増えたと仮定した場合、生息数の増加が罹患率の上昇につながると推定できる。

荒川河川敷でも、オスたぬ&ボスたぬ夫妻の間に6匹子どもが生まれ、それが全部大人になってしまった。家族内では毛づくろいなどの接触があり、1匹が疥癬に罹ったら、前年に生まれた白たぬ♀を含めると、9匹が全滅する可能性があり、事実、それに近い状態となった。最初に疥癬に罹ったのは、白たぬ♀か今年生まれた白たぬ♂1号のどちらかで、台風による河川敷の水没でどこかに逃げている間のことだったと推測できる。

いずれにしても、接触の機会が増えると疥癬の感染が拡大するので、外猫の餌やりをやめたり、生ゴミをネットで覆ったりすれば、一定数は防げるが、タヌキの生息数が増えると疥癬の罹患率が上がるので、完全に防ぐのは難しい。



【追加】疥癬タヌキの動画を公開すると、イベルメクチンを投与しろ!とコメントする人がやたらと多いが、疥癬タヌキに野生のままイベルメクチンを投与するのは危険な行為だと、前掲論文は警告している(p.60)。

イベルメクチンを含む動物の排泄物が、自然環境に悪影響を及ぼすことである*。本研究では、ホンドタヌキは最終的にイベルメクチンを投与してからおおよそ2か月以上は、野生復帰をさせなかった。それ故に、野生復帰させたホンドタヌキの排泄物には、ほとんどイベルメクチンが含まれていなかったと考えられる。

* Asbakk, K., Hrabok, J.T., Oksanen, A., Nieminen, M. and Waller, P.J. (2006) Prolonged persistence of fecally excreted ivermectin from reindeer in a sub-arctic environment. Journal of Agricultural and Food Chemistry, 54, 9112–9118.

2020.01.22 | └ たぬたぬ(タヌキ) | トラックバック(0) | コメント(2) |

初訪問になります。

2020.01.22 11:25 URL | 秦野義仁 #GWMyNl/. [ 編集 ]

コメント早いですね。
ありがとうございます。

2020.01.22 11:28 URL | 王子のきつね #NVCdQGYY [ 編集 ]












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