FC2ブログ


報ステCMにかんする記事(↓)

 45歳の我は、ベルリンの壁の崩壊も湾岸戦争のニュースも、中学生の時にニュースステーションで見ていた。当時の私はニュースステーションが好きだったし、信頼していたのだ。

 だから今回のことは怒りよりも悲しみが大きい。初恋の人がネトウヨおじさんになっちゃった気分である。

 もし今回の件を徹底検証する特集をやってくれたら「報ステ、やるじゃん」と見直して、「9時54分。ちょっとニュース見ていい?」と報ステをつけるだろう。そういう人は私だけじゃないと思う。

報ステCM炎上…同じ過ちを繰り返す「メディアの偉い人」の首根っこをつかんで伝えたいこと

報道番組を見なくなってからどれくらい経つだろう。「ニュースステーション」と「報道ステーション」は、フィリピン革命(1986年)の頃から(見られるときは)ほぼ毎日見ていた。

「ニュースステーション」はオフィス・トゥー・ワンが制作と出演者のマネジメントを、「報道ステーション」になって古舘プロジェクトが出演者のマネジメントのみを、古舘伊知郎がキャスターを退いてからテレビ朝日が制作と出演者のマネジメントを行うようになった。放送局だけでやるようになったらダメになったってことか?w


リンクがキレてたら…
報ステCM炎上…同じ過ちを繰り返す「メディアの偉い人」の首根っこをつかんで伝えたいこと
3/28(日) 8:01配信

■ 信じられない内容

 テレビ朝日『報道ステーション』のCM動画が炎上した。このCMを初めて見た時は「トンチの一種かな?」と思った。

 報道番組がこんなヤバいCMを世に出すなんて、意味不明だったからだ。

 だが、どれだけ目を凝らしても「よーし、女をバカにしたCMを作るぞ!」という意図しか感じない、ミソジニー(女性蔑視)の金太郎飴みたいな内容だった(後述の通り、意図がなかったとしても圧倒的にヤバい)。

 CMでは、若い女性が「ただいま」と画面に向かって話しかける。

 「会社の先輩、産休あけて赤ちゃん連れてきてたんだけど、もうすっごいかわいくって」

 「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的にかかげてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」

 「化粧水買っちゃったの。もう、すっごいいいやつ。それにしても消費税高くなったよね。国の借金って減ってないよね?」

 「9時54分。ちょっとニュース見ていい?」

 最後に「こいつ報ステみてるな」とテロップが出る。

 全裸で灯油をかぶってキャンプファイヤーするぐらい、炎上必至の内容である。ネットでは爆速で批判の声が広がり、私も以下のようにツイートした。

 『意味がわからない。なぜ「ジェンダー差別的な発言をする政治家が時代遅れ」ではなく「ジェンダー平等をかかげる政治家が時代遅れ」と若い女性に言わせたのか? なぜ報道ステーションはこんなCMを作ったのか? 誰も疑問を持たなかったのか? ちゃんと説明してほしい』

 『まさか報道ステーション及びテレビ朝日はジェンダー平等に反対だ、ジェンダー差別を支持する、というそのままの意味なの? そのメッセージを若い女優さんに代弁させたの? だとしたらマジでヤバ過ぎる』

 『若い女はキャピキャピ無知で馬鹿だから自分たちが教えてあげる、という描き方もヤバ過ぎるし、ヤバさの玉手箱や。報ステは「誤解を招く表現を」としれっと削除するんじゃなく、きっちり説明すべき』

 『カラフル=多様性みたいなこと言いたいのかもしらんけど、差別や排除を認める多様性なんてそもそも矛盾だからね、つかこの話何回目? あとジェンダー平等が時代遅れになってる国なんて存在しないから。報道ステーションを二度と見たくなくなるという意味ではすごいCM』

 『「民族差別に反対する政治家は時代遅れ」とは絶対言わせないはず。ジェンダー差別は軽んじてよい問題だと思っているのか? つかこのCM作ったの誰や? 』

 と連投ツイートしつつ、自民党のおじいさんが作ったのかな? と思った。


■ 役者さんと化粧水に謝れ

 子どもが好きで美容に関心があり、ジェンダー差別や女性の権利には関心がなく、消費税に文句言わない、こいつ呼ばわりされても笑顔の若い女。

 そんな「僕の考えた理想の妄想彼女」みたいなやつを無批判に描くなんて、ジャーナリズムの自殺じゃないか。

 それともやっぱトンチなの? ぽくぽく。

 と一休ポーズで考えていたら、報ステの公式がしれっと動画を削除していた。「意図が伝わらず」「不快な思いをされた方が」というテンプレ謝罪文と共に。

 「自分は悪くないけど、そっちが誤解したなら形だけは謝りますよ」というヘルジャパンのお家芸である。

 CMが批判されたのは、意図が伝わらなかったからじゃない。むしろ制作側の認識、「こいつバカだから俺が教えてやんよ」的な上から目線が伝わったから炎上したのだ。

 なにより、差別解消を目指すべき報道機関が、差別解消を目指す人を嘲笑する。その石を投げる役を若い女性にやらせる。

 「若い子は差別なんて気にしてないし、騒いでるのはフェミのババアでしょ? あんなのになりたくないし、化粧水つけよっと(キャピ)」と対立の構図を煽っているのが、幾重にもクソすぎる。

 報ステはまずこんな役をやらせた役者さんに謝れ、あと化粧水にも謝れ。

■「ジェンダー平等は時代遅れ」とかよう言うたな

 しかしテンプレ謝罪文から判断するに、彼らは問題の本質をまるでわかってないだろう。わかってないからこんなCMが世に出てしまったのだ。

 日本がジェンダーギャップ指数121位に輝くのは、女性の政治家や女性の管理職が極端に少ないからだ。つまり、意思決定する場に女性がほとんどいない。

 テレビ局やメディアの女性社員や女性役員の少なさは問題視されているが、テレビ朝日も女性の役員は1人しかいない。

 それで「ジェンダー平等は時代遅れ」とかよう言うたなと感心するが、だから感覚のズレに気づかないまま、この手の炎上が繰り返されるのだ。

 たとえば、もし仮に内閣のメンバーも政治家も企業の役員も、おばさんとおばあさんばっかりだったとして、そんな絵面を想像すれば、今の状況が偏りすぎだと気づくだろう。

 現状がおかしいと気づかないのは、感覚が麻痺しているからだ。オギャーと生まれた瞬間から男尊女卑に浸かっているため、差別があることに気づけない。

 それで「差別する意図はなかったフンガフンガ」と釈明する。無意識に骨の髄まで男性優位が染みついていて、何が差別かすらもわからない。「ミソジニー? それどんな汁物?」みたいな感覚なのだ。

 おまけにテレビ局やメディアのトップにいるおじさんやおじいさんは、超エリート強者男性である。差別に踏まれたことがない彼らには、踏まれる側の痛みがわからない。

 そんな彼らは「今はもう女性差別なんてない」「むしろ女の方が強い」とおっしゃるが、それは「昔は踏まれても文句言わなかったくせに、文句言うようになるなんて、強くなったなお前」という意味である。

 また彼らは「今はすぐに叩かれて生きづらい」と被害者ぶるが、それは「弱いものを踏みつけても怒られない時代はよかったな~、時計の針を戻したいYO!」という意味である。

 報ステの偉い人よ、聞いてくれ。あなたは「視聴者が不快な思いをしたから」ではなく「自分が差別的なCMにゴーを出したから」批判されたのだと認めるべきだ。そのうえで徹底的に検証して再発防止プランを考えて、それを視聴者に報告するべきだ。

 でも全然しなさそうだから、ワイがぽくぽく考えてみた(優しい)。


■ 鈍感でいられる特権

 今回の件で、某テレビ局のディレクターの女友達と話した。

 以前、彼女が担当する番組で性差別や性暴力を揶揄する企画が出た際、男性プロデューサーに「これ絶対炎上しますよ」と意見したけど聞いてもらえず、案の定、大炎上したそうだ。

 その男性プロデューサーは彼女の意見に「気にしすぎでしょ」「大げさに考えすぎだよ」と返したという。

 出た、いつものやつ!  よっ、成駒屋!! 

 女性が性差別や性暴力について話すと、気にしすぎ、大げさ、過剰反応、敏感すぎる、いちいち騒がなくても、面倒くさい女だなあ…と返す。それは「性差別や性暴力なんて大した問題じゃない」と軽視しているからだ。

 「過去に何度も燃えてるのにバカなの?」と真顔で聞きたいが、彼らは高学歴のエリートであり、東大卒とかもゴロゴロいる。

 女性に比べて性差別や性暴力に遭いづらい。それは男性のもつ特権だが、人は自分の特権には気づきにくい。

 去年、私が脚本を手がけた「性暴力を見過ごさない」動画が公開された時も、女性からは「超あるある」「リアルすぎて泣いた」との声が寄せられた一方、男性からは「本当にこんなことあるんだ」と驚きの声が寄せられた。

 周りの男性陣も「ラピュタは本当にあったんだ…!」とパズー顔になっていた。それぐらい、男と女では見えている世界が違う。彼らにとって、動画に出てくる「ぶつかりおじさん」はUMAみたいな存在なのだ。

 見えている世界が違うのは、性差別や性暴力だけに限らない。特権を自覚できない話について、以前こちらのコラムに書いた。

 ドイツに住んでいた女友達いわく、彼女がドイツ人の夫とレストランに行った時と日本人の友人と行った時では、店員の態度が違ったという。その話を夫にすると「気にしすぎじゃない?」「きみはちょっと敏感すぎるよ」と言われたそうだ。

 そうやって気にせずにいられること、鈍感でいられることが特権なのだ。そして、強者であればあるほど特権に気づきにくい。


■ スタート地点が違う

 社会が大きな教室だとすると、エリート男性は一番前の席に座っている人たちだ。後ろの席の人からは黒板が見えづらいし、授業の声も聞こえづらい。

 一番前の席で後ろを振り返ったことのない人には、それがわからない。弱い立場の人やマイノリティの存在が見えないから、「本人の努力が足りない」「自己責任だ」といって、社会の構造を変えようとしない。

 たとえば、東大生の親の半数以上は、年収950万円以上だ。親の経済格差が教育格差につながり、努力したくてもできない環境にいる人、進学という選択肢すらない人もいる。

 塾や習い事をする余裕などなく、家計を支えるためにバイトする子どももいる。それを知識として知っていても、リアルで見たことがないため、存在が透明化されてしまう。

 「俺だって必死に努力してここまで来たんだ!」と彼らは思っているが、そもそも自分と同じスタート地点に立てない人が見えていない。

 そんな人ばかりがメディアのトップにいたら、視野が偏るのは当然だろう。よって同質性の高いメンバーから、多様性のあるメンバーに変える必要がある。

 こちらの記事にあるように、欧米の公共メディアでは多様性の確保に取り組んでいる。たとえば英国BBCは職員やスタッフの雇用において、多様性(性別、障がい、人種、年齢、宗教、性的指向)を反映し、全職場で機会均等を目指すことを表明している。

 同時に、ジェンダー教育や社会的公正教育などを継続的に行うことも必要だろう。

 また立場が下の者が忖度せず、わきまえずに意見を言える環境作りも必要だ。

 若手スタッフがプロデューサーに「これヤバいっすよ」と意見して「そうか、やめよう!」となる職場だったら、炎上は起こらないのだから。

 そのうえで、第三者チェックも必要だろう。ワイでよければ「これ全裸キャンプファイアーやぞ」と教えてあげますよ(優しい)。

■ 希望もある

 最後に、私は今回の件で希望も感じた。5年前であれば、ここまで批判の声は上がらなかっただろう。

 今回の炎上で、他のメディアや企業も「時代遅れな人がトップにいるのはリスクだ」「ジェンダー意識が低いと生き残れない」「アップデートしないとマジでヤバい」と危機感を抱いたんじゃないか。

 昔を懐かしんでも、時計の針は戻らない。いい加減、元号が令和に変わったことに気づくべきだ。

 10年前、私が「フェミニズムをテーマに書きたい」と出版社に提案しても見向きもされなかったが、今は「フェミニズムをテーマに書いてほしい」と依頼が来る。ジェンダーやフェミニズム系のコンテンツがヒットして、大学ではジェンダーの授業が大人気だそうだ。

 この流れは止まらないし、さらに加速していくだろう。

 同時に、フェミニズムにバックラッシュはつきものだ。フェミニズムの波が来ると、それを潰そうとする波が来る。今回のCMもバックラッシュの1つだろう。

 参政権を求めて運動した日本の女性たちも「イカれた女たち」と誹謗中傷されたし、1980年代のアメリカでは「フェミニズムのせいで女性は不幸になった」とメディアがネガティブキャンペーンを行った。

 バックラッシュに殴られても負けなかった人たちのおかげで、今があるのだ。

 2017年にアメリカから#MeTooが広がって、日本でも多くの女性が声を上げ始めた。森会長の発言に「わきまえてたまるかよ!」と一斉に抗議して、約15万人の署名が集まり、世論と政治を動かした。

 そして女性だけじゃなく、男性も声を上げ始めている。一人一人が声を上げることで、社会は変えられる。それをいま世界中の人たちが証明している。

■「報ステ、やるじゃん」となるためには

 45歳の我は、ベルリンの壁の崩壊も湾岸戦争のニュースも、中学生の時にニュースステーションで見ていた。当時の私はニュースステーションが好きだったし、信頼していたのだ。

 だから今回のことは怒りよりも悲しみが大きい。初恋の人がネトウヨおじさんになっちゃった気分である。

 もし今回の件を徹底検証する特集をやってくれたら「報ステ、やるじゃん」と見直して、「9時54分。ちょっとニュース見ていい?」と報ステをつけるだろう。そういう人は私だけじゃないと思う。

2021.03.28 | ├ 政治ネタ | トラックバック(0) | コメント(0) |












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://kitsunekonkon.blog38.fc2.com/tb.php/13334-8078ec46