きっこ姉さんはインセスト・タブーを誤解しているようです。あっ、インセスト・タブーというのは、「近親婚の忌避」のことです。

イギリスで、ある男女のカップルが結婚したんだけど、結婚したあとに、「2人が実は双子だった」ってことが分かり、法律で禁止されてる「近親結婚」にあたるとして、結婚を無効にされたっていうニュースがあった。これは、イギリスのBBCが1月11日付で伝えたもので、前自民党員で無所属の上院議員が、去年の12月に、英国上院で報告した内容に沿って報じてる。「Parted-at-birth twins 'married'」、つまり、「生まれた時に離れ離れになった双子が結婚してしまった」っていう記事だ。

■2008/01/12 (土) あなたのダンナは大丈夫?

この出会い自体がものすごい確率だと思われます。数百万分の1???

僕は君の全てなど 知ってはいないだろう
それでも一億人から 君を見つけたよ
根拠はないけど 本気で思ってるんだ

「粉雪」


一億人って微妙な数字ですよね。だって女性だけなら6500万人しかいないんだもん。ひょっとして男もOK?(爆)

さて、問題なのはその続きの部分。

だけど、こんなことを言い出したのは、歴史的に見たら、つい最近のことだ。古代エジプトでは、王家を継承して行くために、兄弟間での結婚が普通に行なわれてた。あのクレオパトラの両親だって、実の兄と妹なんだし、そのクレオパトラ自身も、自分の実の弟と結婚してる。ニポンの天皇家だって、今でこそ民間人の血を入れるようになったけど、もともとは近親相姦の歴史でしかない。だけど、「近親相姦」なんて言葉が作られて、それを「悪しきもの」って見るようになったのが最近なワケで、昔は、他の家系の血を入れないための「完全純血主義」っていう美しいものだったのだ。古代から中世にかけては、ヨーロッパでも、インドでも、いろんな国々に「完全純血主義」はあったし、未開地の少数民族のように、現在でも家族間で子作りをしてる民族もある。

例外とか、まちがった例ばかり取り上げているんですけど…。orz
古代エジプトは、王家以外はすべて近親婚は禁止されていて、例外的に王家だけはそれを許されていた。王家の神聖な血(というか権威)を維持するため、例外的に近親婚が許されていたのです。

日本は、世界的にもめずらしいくらい近親婚の範囲が狭い国で、古代では異母兄妹・姉弟の結婚が許されていました。これは「妻問い婚」のせいで、子どもは妻の実家で育てられるので、異母兄弟姉妹の場合、兄弟姉妹であるという意識がなかったのです。古代の天皇家が同族間で婚姻をしていたのは事実ですが、それはエジプトと同じく、天皇家の神聖な血(と結びついた権力)を維持するため、皇后は同族から迎えていました。でも、それはインセスト・タブーがないからではなく、その範囲が狭いからであって、天皇家でも同母兄妹・姉弟は禁止されていたのです。ていうか、同母妹と結婚したために、皇位を失った天皇が「古事記」「日本書紀」には出てきます。あと、「大化改新」の中大兄皇子がなかなか天皇になれなかったのは、同母妹の間人皇女と「できていた」からなのは有名な話です。w

インドの「完全純血主義」ってカースト制のことでしょ。カースト制は、同一カースト間で婚姻する制度だけれど、近親婚ではありません。ちなみに「カースト」という言葉は、インドに来たポルトガル人がそこに存在していた「ジャーティ」という集団をポルトガル語で血縁をあらわす「カスタ」と呼んだところからできた言葉です。ジャーティは職業を同じくする内婚集団で、これを浄穢思想(淨いものと穢いものに分ける考え)で再編成したのがカースト制度です(インドではヴァルナといいます)。ちなみに、ジャーティは、近親婚を避けるために、同一村落内での結婚は禁止しています。郡内の他の村落から配偶者を連れてくるのです。

「未開地の少数民族のように、現在でも家族間で子作りをしてる民族もある」ってどこの民族なんでしょうね。てか、「原始的」とされるどんな民族でもインセスト・タブーが存在していることが、かつて文化人類学の重要なテーマだったんですけどね。このことを明らかにするために、レヴィストロースが構造主義人類学を打ち立てたんだけど…。w

レヴィストロースが明らかにしたのは、インセスト・タブーの原因は「生まれて来る子供が、正常じゃない確率が高いって話」いわゆる遺伝学上の問題とはぜんぜん関係なく(ちなみに、この点でもかならずしもそうじゃないことが明らかになってきている)、集団間での「女性の交換」であるということです。

ある集団を維持するためには、子どもを産んでくれる女性をどこからか得なければならない。しかも、一方的に女性を得られるわけではない。自分たちの集団の女性を他の集団に与え、その対価として女性を得るのが、いちばん合理的なわけです。だから、他集団に与える女性=セックスしてはいけない女性と、自集団に迎える女性=セックスできる女性を分けるインセスト・タブーがすべての民族に発生したのです。この説明自体はぜんぜん構造主義的じゃないけどね。むしろ機能主義的。w てか、こんな機能があることを知らずに、世界中のすべての集団が無意識的にこのような制度をつくってしまった、というのが構造主義的な説明なのです。(爆)

ただ、セックス可能・不可能を分ける基準は生物学的なものではないので、その集団によってものすごくちがってくる。たとえば、日本じゃ異母兄弟姉妹までセックス可能になるんだけど、同じ東アジアの中国や朝鮮半島では、同姓の集団(=宗族)間ではセックスしちゃダメってことになる。ただし朝鮮半島でも金さんは例外なんだよね。多すぎて、○○系の金さん同士じゃダメってことになっているらしい。w

だから、「兄弟で結婚しちゃダメ」ってのは、あくまでも「その国の法律」の問題であって、そんな法律のない国に行けば、ぜんぜん関係ないのだ。たとえば、「誰かの所有物が欲しかったので、その相手を殺して奪った」ってことなら、どんな国でも、どんな民族でも、「悪いこと」って判断されるだろう。何でかっていうと、それは、「人道的に許されない行為」だからだ。だけど、兄弟間の結婚や親子間の結婚は、日常的にやってる民族がある以上、それを「人道的な問題」ととして禁止することはできないと思う。あっちの民族はオッケーなのに、こっちの民族はダメっていうのは、人道的な問題として禁止するんじゃなくて、その民族ならではの正当な理由を掲げた上で、禁止すべきなのだ。

だから、殺人しちゃダメ、泥棒しちゃダメ、ウソついちゃだめと同じく、近親婚したらダメってことになってるんです。w

「兄弟間の結婚や親子間の結婚は、日常的にやってる民族がある」。そんな民族いませんよ。すべてきっこさんの誤解です。w

法律で禁止されているのなら、事実婚でも(゚∀゚)イイ!じゃないですか? 問題なのは、それに関連して発生してくる相続や社会保障などの権利の問題なわけだから、そっちでの差別をなくしたほうが(゚∀゚)イイ!のではないでしょうか?



じつはこの話、オイラ的にオモシロイと思っているのは、イギリス上院で出てきたことです。

イギリスって国は、じつは三権分立になっていなくて、司法権は伝統的に上院(=貴族院)がもっているのです。上院議員の中に「法律貴族」っていうのがいて、彼らが最終的な法律の解釈権をもっています。だから、イギリスには違憲立法審査権がないのですよ。だって法律をつくる議会が法律の解釈までしちゃうんだもん。

で、これはよくない、というので、ブレア政権の時代に、上院を大リストラして、原則廃止するって話が出てきたんです。アメリカのような最高裁判所をつくって、裁判官は首相が任命することになるのです。これはブラウン政権にも引き継がれているので、イギリス上院は「風前の灯」状態なのです。

だから、イギリス上院は「延命」に必死なわけで、そのためのネタづくりとしてこんな話を出してきたのかな?(爆)

2008.01.13 | 日記らしきもの | トラックバック(0) | コメント(0) |












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