FC2ブログ
いやぁ、長い間、サボってすいません。期末試験とその後始末でたいへんだったんで…。

「中間試験の成績がよかったんで、期末試験はサボっても(゚∀゚)イイ!だろう」などというふざけた連中が多数いたので、たいへんでしたよ。orz

…などという愚痴はこのへんで止めておきます。


で、ネタがないので、夏休みに生徒にを渡した「読書案内」を転載してごまかします。(爆)
  夏休みは長いので、ふだんできないことをしよう。…というわけで、読書案内をします。ところで、日本で出版された本を紹介するときは、著者名『書名』(出版社、出版年)を書きます。知っておいてください。


【経済】

小暮 太一(こぐれ たいち) 著『マルクスる?』(マトマ商事出版局、2007年)

  この本は、マルクス経済学を解説する本ですが、経済のしくみを知るうえでとても役に立ちます。まず、商品から話がはじまり、商品から「一般等価物」である貨幣が生まれ、それが資本になっていく過程が説明されます。そして、企業は、利潤(=剰余価値)獲得のため、労働者を必要労働時間以上に働かせ、設備投資や技術革新を進めるのですが、これが利潤率の低下を招きます。さらに、生産財(機械など)生産部門と消費財(食料・衣料など)生産部門の不均等な拡大が恐慌を発生させます。最後に、本来、利潤は生産過程からしか生まれないのですが、なぜ商業資本と金融資本が成立するかが説明されます。この本はマルクスの『資本論』全3巻の内容をわかりやすく解説したもので、これを読んだだけで、『資本論』を読んだ「ふり」ができる、という優れものです。(爆)
  小暮さんは『落ちこぼれでもわかるミクロ経済学の本』(2006年)と『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』(2006年)を同じ出版社から出しています。

中谷 巌(なかたに いわお) 著『マクロ経済学入門 第2版』(日経文庫、2007年)

  中谷さんの『入門マクロ経済学 第5版』(日本評論社、2007年)は、大学の経済学部でマクロ経済学を学ぶ学生の教科書として有名です。この本はその入門書という位置づけです。内容は、小暮さんの『落ちこぼれでもわかるマクロ経済学の本』と同じですが、はるかに体系的に書かれています(その分むずかしいけど…)。「現代社会」や「政治経済」では、「国民経済計算」・「金融」・「財政」はそれぞれバラバラに学びますが、この本を読むと、これらがすべてケインズ理論として一つの体系をもっていることがわかります。
  日本経済新聞社は、ビジネスマンの新聞『日本経済新聞』を出している新聞社です。日経文庫には、入谷純 著『財政学入門 第2版』(2008年)や、日本経済新聞社 編『ベーシック金融入門 第5版』(2006年)など、経済にかんする解説本があります。

小塩 隆士(おしお たかし) 著『高校生のための経済学入門』(ちくま新書、2002年)

  小塩さんの「高校生には経済学の勉強にあまり力を入れてもらいたくない」という自己否定発言には驚きました。(爆) 要は、外国語(英語)、数学、自然科学(理科)、日本や世界の名著や古典、そして日本や世界の歴史を学ぶ方が、将来の経済理解に役だつというのです。この本は、需要と供給、市場メカニズム、市場の失敗、国民経済計算、金融、財政と、高校の「経済」を1冊で学べる内容になっています。「おもしろさ」では小暮さん、「くわしさ」では中谷さんには負けますが、なかなかよくまとまった本です。


【政治】

姜 尚中(かん さんじゅん) 著『姜尚中の政治学入門』(集英社新書、2006年)

  この本は、現代日本の政治を「アメリカ」・「暴力」・「主権」・「憲法」・「戦後民主主義」・「歴史認識」・「北東アジア」の7つのキーワードを通して読み解く内容になっています。姜尚中さんは、マスコミが伝える「生もの」の情報に対して、「干物」の学問の重要性を説いています。「百聞は一見にしかず」というけれど、「百見は第六感にしかず」と姜さんは言います。ものごとの本質を見抜く第六感を身につけるためにも、政治学のような「干物」の学問が必要だ、と姜さんは主張しているのです。


石川 真澄(いしかわ ますみ) 著『戦後政治史 新版』(岩波新書、2004年)

  石川さんは『朝日新聞』の政治記者を長年してきた人です。この本は、1984年に初版が書かれ、1995年に改訂されました。今回の改訂中に石川さんが亡くなったため、政治学者の山口二郎さんが加筆して完成させました。石川さんは、国民の民意の反映である選挙結果を重視し、それが政治にどう反映されたかを中心に、戦後政治史を書きました。あとで紹介する竹中治堅さんの本とちがって、小選挙区比例代表並立制を導入した選挙制度改革、橋本行政改革、および小泉構造改革に対して、否定的な内容になっています。


竹中 治堅(たけなか はるかた) 著『首相支配─日本政治の変貌』(中公新書、2006年)

  この本は、1994年の選挙制度改革から2005年の小泉「郵政解散」までの日本政治の変貌をテーマにしています。竹中さんは、小選挙区比例代表並立制により政党中心の選挙制度が導入され、橋本行政改革で総理大臣のリーダーシップが政治に反映できるようになり、それを実践したのが小泉純一郎首相だとしています。この評価に対して、私は賛同しているのですが、石川さんや山口さんのように、ちがうと考えている人もかなりいます。政治は人によって判断が分かれることが多いのです。


【歴史】

網野 善彦(あみの よしひこ) 著『日本の歴史をよみなおす(全)』(ちくま学芸文庫、2005年)

  網野さんは、阿部謹也さんとともに、日本の歴史学に「社会史」という分野を導入した人物です。網野さんの本は『無縁・苦界・楽』(平凡社ライブラリー、1996年)や『東と西の語る日本の歴史』(講談社学術文庫、1998年)などもあるのですが、これがいちばん読みやすいでしょう。網野さん以前の歴史学は、土地に縛りつけられた農民と、彼らを支配する権力者の関係から、日本の歴史を描くことが多かったのです。網野さんは、非農耕民が数多く存在し、彼らが移動していたことを明らかにしました。彼らの中には、中世から近世への転換期に、被差別民として差別されるようになった人々もいたのですが、網野さんはそういった人々を含めた新しい日本史像を描こうとしました。これもその一つです。
  阿部謹也さんの本では『ハーメルンの笛吹き男』(ちくま文庫、1988年)がおもしろいでしょう。あと、喜安朗 著『パリの聖月曜日』(岩波現代文庫、2008年)や、高木 侃 著『三くだり半』(平凡社ライブラリー、1999年)などがあります。

E.H.カー 著『歴史とは何か』(清水幾太郎 訳、岩波新書、1962年)

  E.H.カー(1892-1982)は、イギリスの歴史家で、ロシア革命史の研究者として有名です。この本は40年以上前に書かれたものですが、その重要性は今でも変わりません。この本の中でカーは「歴史とは現在と過去との対話である」と述べています。ランケにはじまる近代歴史学は、歴史家は、主観を交えず、客観的な事実だけを選び、歴史を書かなければならないとしました。しかし、歴史的事実として、何を選び、何を捨てるのか、という選択を行った時点で、歴史家の価値観(=歴史観)がその歴史に反映されてしまうのです。だからと言って、歴史家は、都合がよい事実だけを選んで、恣意的な歴史を書くことは許されません。歴史とは、現在に生きている歴史家が、過去の事実と向き合い、それを歴史として記述する、「現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」なのです。


【心理学】

鈴木 晶(すずき しょう) 著『図解雑学 フロイトの精神分析』(ナツメ社、2007年)

  フロイトは「無意識」を発見した人物であり、彼のはじめた「精神分析」は、神経症の治療法だけでなく、現代思想に大きな影響を与えました。この本は一冊でフロイトの生涯や理論がわかってしまう優れものです。これはなかなかたいへんなことで、小此木啓吾 著『フロイト思想のキーワード』(講談社現代新書、2002年)や、妙木浩之 著『フロイト入門』(ちくま新書、2000年)を読んでも、なかなか全体がわからないのです。あと、「現代社会」や「倫理」であつかうフロイトは、「自我の防衛規制」だけ(たぶんフロイトでいちばんおもしろくない話)なので、おもしろいことを知りたい人はどうぞ。(爆)
  フロイトの精神分析に対して分析心理学を確立したのがユングです。福島哲夫 著『図解雑学 ユング心理学』はユングの生涯と理論を書いた本です。あと、フロイトの理論を構造主義的に発展させたラカンについては、斎藤環 著『生き延びるためのラカン』(バジリコ、2006年)や、新宮一成 著『ラカンの精神分析』(講談社現代新書、1995年)があります。

諸富 祥彦(もろどみ よしひこ) 著『人生に意味はあるか』(講談社現代新書、2005年)

  諸富さんの『トランスパーソナル心理学入門』(講談社現代新書、1999年)の内容が浜崎あゆみの歌詞に似ていたのには驚きましたよ。(爆) この本は生きる意味に悩む人々のための本です。カウンセラーをしていた諸富さんは「先生はなぜ死なないんですか」と聞かれるそうです。だから、この本はそれへの解答の書です。宮台真司さんや江原啓之さんの人生に対する答え(この顔ぶれにも驚きますが…)、フランクルの「どんなときにも人生には、意味がある」が紹介され、諸富さんの「いのちが、私している」で終わります。諸富さんの変性意識状態での体験談がすごく怖いです。
  フランクルは、アウシュヴィッツ強制収容所に収容され、家族を皆殺しにされるという体験を経た人物です。V.E.フランクル 著『どれでも人生にイエスと言う』(山田邦男、松田美佳 訳、春秋社、1993年)がおススメ。

【作文】

木下 是雄(きのした これお) 著『理科系の作文技術』(中公新書、1981年)

  タイトルのとおり、文章を書くための本です。入試にも論述の問題がありますからねぇ。類似の本はたくさんありますが、これはなかなかよい本です。タイトルに「理系の…」とありますが、文系にも役に立ちます。もともと理系の大学生向きに書かれた本なので、例文が文系にはいまいちわかりにくくなっていて、それが欠点でしょうか。4章の「パラグラフ」、5章の「文の構造と文章の流れ」、6章の「はっきり言い切る姿勢」、7章の「事実と意見」あたりがものすごく大切だと思います。




とりあえず、読んでなかった本はぜんぶ読んでから書いたので、とてもたいへんでした。まあ、彼らの世界が少しでも広がってくれると(゚∀゚)イイ!んですが…。

2008.07.20 | 日記らしきもの | トラックバック(0) | コメント(0) |












管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://kitsunekonkon.blog38.fc2.com/tb.php/1820-adbe6f43