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前川修満(著)『決算書はここだけ読め!』(講談社現代新書、2010年)


「貸借対照表」と「損益計算書」の読み方を解説した本です。

著者の前川さんは、そばを食べるだけの人には、そばをつくる技能や知識は必要ないのと同じように、決算書を読むだけの人に、決算書をつくるための技能や知識は必要ないと断言します。


前川さんは、中世の商人たちがつかっていた「試算表」から説明します。試算表には、右側に「どうやって資金を集めたか」、左側に「集めた資金をどうしたのか」を記載します。右側は「貸方」、左側は「借方」と呼ばれます。決算書を読むために必要なのは、「貸方」にかんする3つの要素である1)負債(返す約束で借りた金)、2)資本(株式を発行して集めた出資金)、3)収益(稼いで得た金)と、「借方」にかんする2つの要素である4)資産(経済価値を失っていない金)と5)費用(経済価値を失った金)の5つの基本要素だと説きます。

  借方  貸方
┏━━┳━━┓
┃    ┃負債┃
┃    ┣━━┫
┃資産┃    ┃
┃    ┃資本┃
┃    ┃    ┃
┃    ┣━━┫
┃    ┃    ┃
┣━━┫    ┃
┃費用┃収益┃
┃    ┃    ┃
┗━━┻━━┛

そして、

  1.負債は小さく、資本や収益が大きいのが望ましい。
  2.資産が大きく、費用が小さいのが好ましい。
  3.収益が費用よりも大きいことが必要。

の3点で企業を評価します。
この試算表を上下に2分したのが、「貸借対照表」と「損益計算書」です。

  借方  貸方
┏━━┳━━┓
┃    ┃負債┃
┃    ┣━━┫
┃    ┃    ┃
┃資産┃資本┃
┃    ┃    ┃
┃    ┠──┨
┃    ┃利益┃
┗━━┻━━┛

  借方  貸方
┏━━┳━━┓
┃利益┃    ┃
┣━━┫収益┃
┃費用┃    ┃
┃    ┃    ┃
┗━━┻━━┛

「貸借対照表」は、資産、負債、資本の大小を比較し、負債が小さく、資本が大きい方が、財政状態が良好と判断します。また、「損益計算書」は、費用と収益の大小を比較し、収益が費用よりも大きいことが判断基準となります。


実際の「貸借対照表」は、多くの項目からなっていますが、重要なのは、資産合計、負債合計、資本(純資産)合計の大小を比較することです。上記と同じく、負債合計が小さく、資本合計が大きい方が、財政状態が良いのです。

資産(負債+資本)の中で資本(純資産)の占める比率を「自己資本比率」といいます(資本÷資産×100)。これは、20~40%が一般的で、10%未満だと財政基盤が脆弱、40%以上だと、安定しており、倒産事例は少なくなります。

負債については、借入金や社債などの「有利子負債」が大きいが少ないかが重要です。有利子負債とは、借金のことで、少ない方がよい。ただし、有利子負債は、株式を発行するよりも、資金調達が容易なので、これが多いから問題があるとは簡単に言えません。

資本については、その構成要素が重要です。株主が出資した「資本金」・「資本剰余金」に対して、内部留保などの「利益剰余金」が大きいことがあります。これはその企業が長期にわたって利益をため込んできたことを示しています。


「損益計算書」では、5つの項目が重要です。それは、1)売上高、2)売上総利益、3)営業利益、4)経常利益、5)当期純利益の5つです。それぞれの計算方法は、下記の表の貸方(収益)をプラス、借方(費用)をマイナスにして、計算します。

┏━━━━━┳━━━━━┳━━━━━┓
┃  借  方  ┃  貸  方  ┃  利  益  ┃
┣━━━━━╋━━━━━╋━━━━━┫
┃ 売上原価 ┃  売上高  ┃売上総利益┃
┠─────╂─────╂─────┨
┃販売費及び┃         ..┃ 営業利益 ┃
┃一般管理費┃          ┃          ┃
┠─────╂─────╂─────┨
┃営業外費用┃営業外収益┃ 経常利益 ┃
┠─────╂─────╂─────┨
┃ 特別損失 ┃ 特別収益 ┃税引前当期┃
┃          ┃          ┃    純利益┃
┠─────╂─────╂─────┨
┃  法人税  ┃          ┃当期純利益┃
┗━━━━━┻━━━━━┻━━━━━┛

前川さんは、このうち、1)売上高、3)営業利益、5)当期純利益の3つが重要だと主張します。「売上高」は、企業の主要な活動によって稼いだ収益で、顧客の支持を反映し、この増減は支持の増減を示しています。「営業利益」は、企業の主要な活動で出した利益で、10%をこえる企業は少ないそうです。「当期純利益」は最終的な純利益です。

前川さんは、2)売上総利益と4)経常利益をあまり重視しません。まず、「売上総利益(粗利益)」は、業種によってちがいすぎ、一般化できないからです。つづいて、「経常利益」は、本来なら経営者の経営成績を表すものなのですが、経営者は、失敗を特別損益として計算することが多く、あてにならないからだそうです。

なお、上記の表の各項目の説明はつぎのとおり。

1.収益
  (1)売上高
  (2)営業外収益…企業の付随的な活動によって稼いだ収益。
  (3)特別利益…臨時的・突発的な事象によって生じた利益

2.費用
  (1)営業費用…企業の主要な活動によって生じた費用
    1)売上原価…仕入と製造に費やした費用
    2)販売及び一般管理費…販売と一般管理に費やした費用
  (2)営業外費用…企業の付随的な活動によって生じた費用
  (3)特別損失…臨時的・突発的な事象によって生じた損失

2013.02.23 | | トラックバック(0) | コメント(0) |












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