かつて東大合格者数で「浦高ごえ」と騒がれた県立大宮高校でこんな事故が起きてしまった。それにしても、埼玉県の高等学校は「強歩」が好きだな。

 さいたま市大宮区の埼玉県立大宮高で16日、体力向上や精神力を養うため毎年実施している「強歩大会」に参加した2年生の女子生徒がゴール手前で倒れ、その後死亡していたことが26日、同校などへの取材で分かった。県警によると死因は病死。大会は雨天中止の予定を小雨で決行しており、同校の担当者は「因果関係はまだ不明だが、大会を中止していれば防げたかもしれない」としている。

 この事故を受け、同県教育委員会は21日、体育活動などでの事故防止に万全を期すよう求める文書を県内の全県立高へ通知した。

 同校によると、大会は16日午前10時半に開始し、全学年の生徒約1170人が参加。男子が16.5キロ、女子が13キロを、途中走りながら完歩を目指した。

 同11時45分ごろ、ゴール手前約1.6キロで女子生徒が倒れるのを複数の生徒が目撃。知らせを受けた教諭が119番通報した。女子生徒は心肺停止状態で、17日夜、搬送先の病院で死亡した。

 同校は19日に臨時の全校集会、22日に緊急保護者会を開いて事故を報告。小雨決行した理由については「行事が午前中に終わることを考慮した」と説明している。県教委によると、女子生徒は9月中旬の体育授業中に倒れるトラブルがあったが、医師の検査で異常はないとされていた。

「強歩」大会で女子生徒死亡 埼玉県立大宮高 小雨で決行、ゴール前で心肺停止

当然だが、学校の責任を問う声が上がっている。たとえば、我らが南堂ちゃんとか…。

 最後に「防げたかもしれない」と述べているが、これは、そういう問題ではない。「たまたま事故が起こった」のではなく、「学校側が意図的に殺した」と見なせる。

 これはどういうことかというと、たとえ殺人の意図がないとしても、過酷なスパルタ運動をさせれば、人は死ぬことがある、ということだ。

     (中略)

 ここまで見れば、明らかだろう。雨の中で、唇が紫色になっている生徒がたくさん出るという状況で、低体温症になる被害者が明らかに多数発生しているのに、競技を強行した。しかも、半袖短パンが強要され、ウインドーブレーカーなどの着用も許されなかった。もちろんジャージーも駄目。(走っていないときにはジャージーOKだが、走っているときはジャージー不可。)

強歩大会で女子生徒が死亡
しかし、気象庁の記録だと、この日の11~12時台のさいたま市の気象条件は、気温15℃、相対湿度90%(これのみ熊谷市)、降水量1mm、風速2.4~3.4m/sであった。こんな条件で低体温症になるのだろうか?

2009年7月16日に北海道のトムラウシ山でツアーガイドを含む登山者9名が低体温症で死亡した事故をあつかった羽根田治ほか(著)『トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか』(ヤマケイ文庫、2012年)には、低体温症についての詳しい記述がある。それによると、濡れ・低温・強風などを防ぐことが不十分な場合、低体温症になるには5~6時間かかり、死亡するのは2時間以上かかる(亜急性低体温症)。もちろん、6時間未満の「急性低体温症」で死亡することもあるが、それはタイタニック号の事故のように、水温2℃の海に投げ出されたような場合である。

亡くなった女子高校生は、11.4kmを1時間15分(時速9.12km/h)走った後、倒れたとある。上記の本には、体温低下とそれぞれの症状を記した表が載っている。



これによると、体温の低下にともなって、まず運動(歩行)障害が起こり、そののち循環器系の障害が起こることがわかる。走っていて、いきなり倒れ、心停止とはならないはずだ。

むしろ不整脈による突然死の可能性が高そうだ。つぎの記事だと、1万人に1人が運動中に不整脈を起こして突然死しているようです(多くは中高年だけど)。

 マラソン大会などの運動中に約1万人に1人の割合で突然死が起きているという。心臓に一見、異常がない人でも突然死が起きるが、原因はほとんど分かっていない。今回特定した遺伝子の異常が突然死の一部に関わっている可能性があると研究チームはみている。

運動中の突然死、関連遺伝子を特定 東京医科歯科大

学校行事として「強歩」をする場合、公立だと教育委員会に計画書を提出したうえで、場所の管理者に許可を取らねばならない。1000人以上の参加となると、雨天順延はいろいろとメンドくさい。とくに、今回のように開始時点では雨が降っておらず(10時台は降水量0mm)、走り出してから雨が降り出し、だんだん強くなった場合は…。オイラの知ってる某私立学校wなんて、関東では雨がめったに降らない真冬にやるんだけどね(自称30km=実質20~25kmを5時間で歩くゆるい強歩w)。それはそれで寒いんで、とてもたいへんだ(とくに歩かないで生徒を誘導している教員は…w)。

 警察によると、死因は病死だという。女子生徒は先月にも持久走の練習中に倒れていたが、医師に異常なしと診断され、保護者同意の上で大会に参加していた。

埼玉・県立高校「強歩大会」で女子生徒死亡

持久走の練習中に倒れ、医者が異常なしって診断したということは、運動中にだけ不整脈が現われるのかもしれない。スポーツ医学の専門家でもないかぎり、運動中に心電図をモニタリングすることなんてないからね。しかも、保護者も同意して大会に参加している。亡くなった高校生はカワイソウだけど、学校の責任と言われても困るな。



運動中の突然死、関連遺伝子を特定 東京医科歯科大
2015/10/5 1:00

 東京医科歯科大学の古川教授らは、運動中の不整脈による突然死にかかわる遺伝子を特定した。遺伝子に異常があるマウスは、活発に動いた際に不整脈が起きた。この遺伝子は人にもあり、運動中に不整脈を起こした経験のある人の一部で遺伝子異常が見つかった。事前に遺伝子を検査することで、不整脈の発生を防げる可能性があると研究チームはみている。

 血液を動脈に送り出す心室には、電気信号を素早く伝える働きを持つ細胞などがある。研究チームは、この働きを制御する遺伝子「IRX3」に着目し、詳しく調べた。

 遺伝子がうまく働かないマウスは、活発に動いたときに突然死につながる不整脈が多く起きた。遺伝子に異常があると「心室での電気信号の伝達が遅くなり、運動中に不整脈を起こしやすくなる」(古川教授)という。

 そこで運動中に不整脈を起こした経験がある130人を調べると、5人でこの遺伝子に異常が見つかった。健康な250人では1人しか遺伝子異常が見つからなかった。

 マラソン大会などの運動中に約1万人に1人の割合で突然死が起きているという。心臓に一見、異常がない人でも突然死が起きるが、原因はほとんど分かっていない。今回特定した遺伝子の異常が突然死の一部に関わっている可能性があると研究チームはみている。



埼玉・県立高校「強歩大会」で女子生徒死亡
2015年10月27日 12:38

 埼玉県の県立高校で、今月、長距離を走ったり歩いたりしてゴールを目指す学校行事に参加していた女子生徒が倒れ、その後、死亡していたことが分かった。

 埼玉県立大宮高校によると、今月16日、13キロのコースを走ったり歩いたりしてゴールを目指す「強歩大会」と呼ばれる行事に参加していた2年生の女子生徒が、ゴール手前で倒れたという。女子生徒は心肺停止の状態で、病院に運ばれたが、翌日死亡した。

 警察によると、死因は病死だという。女子生徒は先月にも持久走の練習中に倒れていたが、医師に異常なしと診断され、保護者同意の上で大会に参加していた。

 大会は雨天中止の予定だったが小雨で決行され、終盤には雨脚が強かったということで、高校は詳しい経緯を調査したいとしている。

2015.10.30 | 時事ネタらしきもの | トラックバック(0) | コメント(0) |












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