エイプリルフールだが、この話はウソではない。

妹が膀胱炎になり、ウブレチドという薬を処方された。ところが、この薬を飲むようになってから、胃けいれんを起こすようになった。それが、尿意を感じて、トイレに行くと、胃けいれんが起こるというものだった。医師に相談しても原因不明とのこと。そこでオイラが調べてみた。そして、恐ろしいことが分かった。

サリンのような神経ガスや、
有機リン系と言われる農薬が、
恐ろしい薬物であることは、
皆さんもよくご存知と思います。

これらの薬剤は、
コリンエステラーゼという酵素を、
妨害することによって、
その恐るべき効果を現わすのです。

アセチルコリンは、主に自律神経に働く、
神経伝達物質です。
神経を刺激するために分泌されたアセチルコリンは、
役目を果たすと、
コリンエステラーゼという酵素の働きで、
速やかに分解されます。
ところが、サリンや農薬のような薬剤は、
そのコリンエステラーゼを阻害するのです。

それによって、余分なアセチルコリンが分解されず、
アセチルコリンの過剰な状態が起こります。

これを「コリン作動性クリーゼ」と言います。

放って置けば死に至る、
恐ろしい病態です。

ところが、これと同じ症状が、
一般に処方されているある薬を、
普通の量飲んでいるだけで、
起こることがあるのです。

それが、「臭化ジスチグミン」という薬です。
商品名は「ウブレチド」と言います。

この薬は、そのものずばり、
コリンエステラーゼの阻害剤なのです。
言ってみれば、サリンと同じ効果です。

サリン中毒になる薬

サリンと同じ。orz

患者さんは60代の男性です。
うつ病で抗うつ剤などの投与を受けていました。
抗うつ剤は副作用として、
アセチルコリンの作用を弱めることがあります。
これを「抗コリン作用」と言いますね。
そのためにおしっこが出難くなり、
泌尿器科からウブレチド15mg の処方が始まりました。
これは、薬の添付文書に書いてある通りの、
一般的な使用法です。

ところが…

4日後より、意識がぼんやりとした状態になり、
5日後よりよだれが垂れ、
汗が流れ、吐き気と下痢、
腹痛も訴えました。
それから、急激な呼吸困難がおとずれ、
7日後に心肺停止となったのです。

そう、これが「コリン作動性クリーゼ」です。
アセチルコリンが過剰となると、
分泌が亢進するので、
唾液や汗や痰が増え、
腸の動きも亢進して激しい下痢になります。
それから筋肉の力が落ち、
呼吸不全や意識障害に至るのです。

死ぬこともある。orz

妹の場合、膀胱炎を治すため、膀胱の収縮を促す薬としてウブレチドを処方された。これは、アセチルコリンが副交感神経に働きかけて、膀胱収縮を促すからだ。ところが、アセチルコリンは全身の副交感神経にも働くので、消化器の収縮も亢進させる。ウブレチドの副作用に、腸の動きを亢進させて下痢を起こすことは書かれていた。しかし、妹の場合、腸ではなく、胃の収縮が亢進して、胃けいれんになったのだった。

もともとウプレチドは「重症筋無力症」の薬として開発されたのだが、加齢によって排尿が困難になる「神経因性膀胱」で使われるようになった。ふつう、膀胱炎は、細菌が原因なので、抗菌剤を使う。妹の場合、膀胱の収縮が一次的にうまくできなくて膀胱炎になったので、抗菌剤を使った後、ウブレチドを処方された。しかし、副作用を起こす原理がサリンといっしょだったとは…。orz

胃けいれんの原因が分かったのと、処方期間が終わるのが、ほぼ同じだったので、妹はウブレチドを飲む必要がなくなった。「分かっていたら、もっと早く止めていた」とのこと。

ちなみに、認知症治療薬のアリセプト(ドネペジル)も、コリンエステラーゼ阻害剤で、「コリン作動性クリーゼ」を起こすことが知られている。

これはマチガイだった。アリセプト(ドネペジル)は、脳内でしかコリンエステラーゼ阻害剤として機能しないそうだ。

2016.04.01 | 日記らしきもの | トラックバック(0) | コメント(0) |












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