II. 資本主義の発展


1.資本主義経済のしくみ


  資本主義経済では、私有財産制をの下で生産手段を所有する資本家が、自らの労働力以外売ることができない労働者を賃金を払って雇い、できるだけ多くの利潤を獲得しようとして自由に企業活動を営む。19世紀の資本主義は、急速に発展し、国家も産業・貿易に対して干渉せず、自由放任(レッセ=フェール)を基本としていた。


2.古典派経済学


  15~18世紀のヨーロッパは、絶対主義の時代であり、国王が強い権力を持っていた。この時代の経済思想は、商業を重視する重商主義であった。これは、貨幣を富と考え、金銀の獲得を重視する重金主義(ポルトガル・スペイン)、貿易黒字の拡大で貨幣を獲得する貿易差額主義(オランダ・イギリス)、国内輸出産業を保護・育成する産業保護主義(フランス)などに分かれる。

  18世紀半ば、フランスのケネーやテュルゴーらによって唱えられた重農主義は、富の唯一の源泉は農業であると考え、自由放任(レッセ=フェール)を主張した。

  18世紀後半、イギリスのアダム=スミスは、興隆しつつあった資本主義を背景に、重商主義や重農主義の富に対する考え方を批判し、労働価値説をたてた。さらに、人々の利己心の追求は、「見えざる手」によって調整され、社会全体の利益と進歩をもたらすから、国家による保護・干渉は経済の活力をそこなうとして、自由放任(レッセ=フェール)を主張した。経済学は、スミスによってはじめて学問として体系づけられ、経済学のはじまりなので古典派経済学(古典学派)とよばれる。

  ※  労働価値説…労働の生産物が富であり、労働が価値をうみだす源泉であるとする説。スミスは、国富をふやすためには労働により生産物をふやさなければならず、そのために、分業によって生産能率をあげることと、設備投資に必要な資本蓄積とが重要であると説いた。

  ※  見えざる手…従来は、価格の変動が需要と供給を調節する市場メカニズムこそが「見えざる手」であるとする説が有力であった。しかし、現在では、人間は、他人の感情や行為に関心をもち、それらに同感する社会的存在である。個人は、社会で一般に通用する「公平な観察者」を心の中に形成し、自分の感情や行為を「公平な観察者」が是認するものになるように努力する。このような人間の性質が社会の秩序を形成する「見えざる手」と考える説が唱えられている。



3.自由競争から独占へ


  自由競争の下では、よい商品を安く売る企業が勝ち残る。企業の中には、競争に負けて市場から撤退するものも出る。一方、競争に勝って有利な地位を占めた企業は、経営規模を拡大し(資本の集積)、弱小企業を吸収・合併する(資本の集中)

  大企業同士の競争は、きわめて激しいので、共倒れの危険もある。そこで、カルテルやトラストなどの独占体をつくり、価格協定などを行って自由競争を制限し、高い利潤を確保しようとする。こうした傾向は19世紀の末ごろから強まり、資本主義は新しい段階に入った。これを独占資本主義とよぶ。

  独占資本主義では、銀行などの金融機関が力をもち、金融資本が形成される。銀行は、貸付をとおして、製造業のなどの産業資本の経営に対する支配を強める。国際的には、資源の確保や市場の拡大のために、植民地の獲得や分割に列強がしのぎをけずる。これが帝国主義である。


4.新古典派経済学


  ジェヴォンズ、メンガー、ワルラスは、労働価値説を否定して、価値は効用(財を消費することで得られる満足度)に求められるべきである主張し、限界効用(財の追加的消費によって得られる効用)は徐々に減少することで経済を説明した。これを「限界革命」という。

  こうして成立した新しい経済学は、古典派経済学と区別して、新古典派と呼ばれた。日本ではこれを「近代経済学」と呼ぶ。これには、ワルラス、パレートらのローザンヌ学派、メンガー、ベーム=パヴェルク、シュンペーター、ハイエクらのオーストリア学派、マーシャル、ピグー、ケインズらのケンブリッジ学派などがある。

2016.05.04 | ├経済の基本 | トラックバック(0) | コメント(0) |












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