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III. 政治と国家


1.国家とは何か


(1)国家の特質


 国家とは、社会全体(領域)の公共の秩序を維持・管理するためにつくられた特殊な社会集団である。主権をもつことによって組織的強制力を独占し、国家意思は国民全体・領土全体におよぶ。

(2)国家の三要素


 国民・領域・主権を国家の三要素という。
 国家の領域領土・領海・領空の三つを指す。領土は国家の基盤となる土地、領海は領土のまわりの主権の及ぶ海域、領空は領土と領海の上空をいう。領海の範囲は、国連海洋法条約12海里排他的経済水域は、沿岸国が漁業を含む天然資源を優先的に利用でき、200海里までと定められた。(1海里=1852m)。


(3)国家と主権


 国家は主権を持っている。主権にはつぎの3つの基本的意義がある。
  1. 最高独立性…国家が外部に対して独立している:「主権国家」という場合。
  2. 統治権…国家が内部に対して行使する権力:「主権の及ぶ範囲」という場合。
  3. 最高決定権…最終的に決定する力を誰が保持しているのか:「国民主権」という場合。

 ジャン=ボーダン(1530~96)は、主権について最初に体系的に理論づけたフランスの哲学者・政治学者である。『国家論六書』のなかで、主権の内容を、立法・宣戦講和・官吏任命・裁判・忠誠誓約・恩赦・貨幣鋳造・課税の8種とし、この主権を君主が行使するとした。主権の絶対性を説くとともに、君主主権を主張して絶対王権を理論づけた。
 しかし、今日では、主権国家も国際法や国際連合の意思に服することが求められている。これらの国際社会の規範は、各国の合意のうえで決定されたものであるから、こうした傾向を「主権の自己制限」という。

2.国家にかんする諸説


(1)国家の起源


 国家がいつごろ、どのようにして生まれたかについては、国によっても異なっているので、種々の説がある。
  1. 神権説…国家は神によって造られたもので、君主の権力は神から授けられたものであるとする説。⇒王権神授説:フィルマー、ボシュエら。
  2. 契約説人民の合意と契約によって国家が成立したとする説。⇒社会契約説:ホッブズ、ロック、ルソーら。
  3. 階級説…階級社会の成立にともなって、支配階級が他の階級を抑圧・支配する機関として国家が生まれたとする説。…マルクス、エングルスら。
  4. 征服説…強大な種族が弱小の種族を征服・支配することによって国家ができたとする説。…オッペンハイマーら。

(2)国家のとらえ方


 次のような理論が代表的である。
  1. 一元的国家論…国家を、他の集団を超越し包括した絶対至高の価値をもつ全体社会とみる。プラトン、アリストテレス、ヘーゲルらが主張。
  2. 国家有機体説…国家を、生物のような有機体とみる考え方で、個人(部分)は国家(有機体)と結合することで生きられるとする。プラトン、スペンサーらが主張。
  3. 多元的国家論…国家も他の社会集団と同列・同価値の一つの社会集団で、社会統合の役割をになう特殊な機能集団の一つにすぎないとする。マッキーバー、ラスキらが主張。
  4. 階級国家論…国家を支配階級による被支配階級抑圧の機関とみる。マルクス、エングルスらが主張。
 ※1と2は個人や諸集団の自主性を否定。

(3)近代国家の分類


 近代以降の国家を機能の面から分類すると、次のようになる。
分類時代特色と性格
夜警国家
(自由国家・消極国家)
資本主義の確立期
18~19世紀
国家の任務を,治安や国防など最小限のものとし、市民社会は国家の干渉のない自由放任がよいとされた。
福祉国家
(社会国家・積極国家)
混合経済体制の段階
20世紀
国家が貧富の差の拡大の是正など、社会的弱者の生活を保障して、国民生活の福祉や公正をはかろうとする。

※ 夜警国家は、ドイツの社会主義者ラッサールが、公正・中立と思われている国家が、実はブルジョアジーの財産を保護する階級国家であると非難して名付けたもの。

2016.07.03 | ├ 政治の基本 | トラックバック(0) | コメント(0) |












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