以前、東京大学大学院教授の早野龍五が高校生を利用して、福島の外部被曝線量は高くないって論文を書かせた話を書いた。

福島の外部被曝線量は高くない?
福島の外部被曝線量はやっぱり高い

これは、その続編で、NHKも絡んでいる。「おはよう日本」で「原発事故と向き合う高校生」という特集があった。福島高校スーパーサイエンス部の生徒たちが福島第一原発の様子を見学したりするものだ。



この中に、地元の幼稚園の保護者に高校生が遠足のリスクについて説明するシーンが出てくる。

遠足で行くのは、信夫山というところで、高校生が計った空間線量は0.254μSv/hで、年間線量に直すと2.2mSvとなる。1年間に浴びてよい空間線量は1mSvなので、そのおよそ2倍強だ。これに対して、幼稚園児の保護者が「自分に子どもができたとして、行かせたいと思いますか?」と質問した。

説明していた女子高生は、泣きながら、「これ(遠足)がないと春が始まらないくらい、自分にとっては大きな機会で。今しか、子どもと親が一緒に山に登ることは ―自分は今、高校生になってから親と信夫山に登ろうという気にならないので― 今しかできない大事な経験だと思う。だから復活してほしい」と訴えていた。

番組ではこのシーンに《法井さんにとって、信夫山は特別な場所でした。毎年春になると、家族や友だちと一緒に登っていました。それが今も「危ない」という声が根強く残り、遠足が実現しないことに悔しさがこみ上げてきたのです》というナレーションをつけていた。

ちなみに、保護者の質問の前に、《しかし、保護者から飛び出したのは思いがけない質問でした》というナレーションをつけていたが、いやいや保護者なら当然発する質問でしょ。子どもが将来ガンにでもなったら、あのときの遠足が原因かも…って悔やむことになりかねないからだ。

なぜ、このような番組をつくったのか、早野教授らはつぎのように意図していたのではないかという指摘がある。

 また、穿った見方をすれば、この「行かせたい(リスクが小さいと判断している)高校生」対「(リスクを大きいと判断している)保護者」という対立構図を予想しており、またそれを全国に報道させたいからわざわざ報道を入れてこの説明会を実施させたかのようにも思われる。

 なぜなら、「官僚対保護者」であれば、内容如何に関わらず視聴者の相当割合が保護者に同情的になるであろうことが、もし「高校生対保護者」であれば、保護者に同情的な視聴者の一定数が「熱心に調べてくれたのにわがままを言って」といったような形で「高校生」への同情にポジションを移す可能性が想定しうるからである。

 これは、「人々がリスクを小さめに評価すること」から利益を得るであろう政府・東電に有利な立場、ということになる(福島に住む人々に利するか、ということに関しては「それは人によるだろう」ということになろう)。

NHK報道 「 原発事故と向き合う高校生 」への疑問: あるいはリスク・コミュニケーション教育はどうあるべきか、について

人間は、感情の動物だから、感情に流されて判断を誤ることがある。それを利用するのは、「○○劇場」で有名な政治家ばかりではない。早野教授のような御用学者もそうである。ちなみに、早野氏の背後には、コピーライターの糸井重里氏がいる。そのあたりの知恵なのかもしれない。

2016.12.09 | └ 福島第一原発事故 | トラックバック(0) | コメント(0) |












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