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昨夜の「ガッテン!」の放送冒頭で先週の放送内容を訂正・謝罪した。

NHKガッテン「不適切でした」異例の冒頭「お詫び」 「糖尿病の睡眠薬治療」を大部分訂正

日本睡眠学会などの抗議文では、「番組内で引用されていた科学研究論文の内容と全く異なっており、完全な誤用もしくは捏造と言わざるを得ません」とあり、それに「ガッテン!」側が「(紹介した研究は)睡眠時間の長さが糖尿病の予防において重要だというものでしたが、(睡眠の)深さが関係あるかのように紹介してしまいました。不適切でした」と訂正した。

しかし、シカゴ大学の研究は、

 睡眠の状態については、夜間に活動モニターを手首に装着してもらい記録した。就眠中に手首がよく動く場合は、その人はおそらく良質な睡眠を得られていないと推定した。また、なかなか入眠できなかったり、夜間に覚醒した場合には報告してもらった。

 その結果、糖尿病で睡眠の質が低下している患者では、睡眠が正常な患者に比べ、朝食前の血糖値が23%高く、空腹時インスリン値も48%高かった。また、糖尿病患者の中でも、睡眠の質が低下している人では正常な人に比べ、インスリン抵抗性が82%高くなっていることが分かった。

 「糖尿病のある人での睡眠の質の低下は、血糖コントロールの悪化に関連しているという結果になった。糖尿病を発症した患者で、睡眠時無呼吸や不眠などがある人では、睡眠を改善する治療を行うことが、糖尿病の治療に良好な影響をもたらす可能性がある」とKnutson氏は指摘する。

睡眠の質の低下は高血糖やインスリン抵抗性につながる

と睡眠の質を問うものなので、なんだかなぁって感じだ。

ただ、レム-ノンレム睡眠って、ノンレム睡眠は脳が寝ているが骨格筋は動き、レム睡眠は脳が覚醒して(夢を見て)いて骨格筋が弛緩しているんじゃなかったっけ? とすると、体が動いているから熟睡できていないとする、この実験には疑問がある。ちなみに、レム睡眠時に目を醒ますと、体が動かないんで、いわゆる「金縛り」になるのだ。


「ガッテン!」に出演した三島和夫は自らのフェイスブックで「ガッテン!」側をこのように批判していた。
ためしてカッテンの放送内容について種々のこ意見をいたたき有り難うございます。ネット上でも種々の非難が飛び交っており、私の職場にも患者さんからの問い合わせがあるなど番組の影響力を改めて感じています。各方面から連絡をいただくのですが個別に回答するのは大変なので、長文になりますが、今回の問題について私見を述べたいと思います。

番組制作者は「デルタパワー」というキラーワード(?)にこだわりすぎて、種々のデータをこじつけようとした嫌いがあります。デルタパワーとは通常は徐波睡眠(深睡眠)として現れます。不眠症では徐波睡眠が顕著に減少しますが、薬物療法、非薬物療法にかかわらす不眠症が真に改善すれば徐波睡眠量が回復します。徐波睡眠は不眠症の改善に沿って緩やかに増加すれば十分で、徐波睡眠だけを突出して増加させても治療的意義はありません。実際、ある種の薬物(例えばバソプレッシン)は徐波睡眠を顕著に増加させますが、睡眠感は改善しません。また徐波睡眠は恒常性機能が作動しやすく、徐波睡眠が多かった翌日はデルタ波が少なくなるなど大きな日間変動もあります。

話が逸れました。そもそも、今回話題になった睡眠薬が登場する以前から、他のクラスの睡眠薬を服用中に糖代謝が改善したという報告があります。それらの睡眠薬の中には「デルタパワー」を減らすものまであります。したがって、睡眠薬によって糖代謝の改善が認められるとすれば、特定の薬物に限定した効果ではなく、不眠症の改善そのものが貢献した可能性が高いと個人的には考えています。不眠症ではHFA系の過緊張や交感神経シフト、抑うつ、エネルギー消買量の減少など耐糖能を阻害するさまざまな身体機能の変化が生じます。不眠症の改善によってこれら耐糖能の阻害要因がマルチファクトリアルに改善されたと考えるのが妥当だと思います。

また、一般的に睡眠薬を服薬してごく短期間で耐糖能が改善するわけではなく、その効果発現は緩徐です。もし数日の短期間で耐糖能が改善するならば、睡眠薬ではなく糖尿病治療薬として開発し直した方が企業も利益が出るでしょう。治験データからはそのような可能性を感じませんでしたが。

最後に私が録画インタビューを受けた潜在的睡眠不足について一言。

不眠症と睡眠不足は全く異なる状態象で、それを「デルタパワー」で紐付けられたのは心外です。睡眠不足では「デルタパワー、徐波睡眠=深睡眠」は減りません。睡眠時間が短くなっても徐波睡眠は最後まで保たれます。睡眠不足によって減るのは浅い睡眠とレム睡眠です。自覚できないほどの睡眠不足でも浅い睡眠とレム睡眠が合計1時間ほど短縮しており、特殊な実験でそれらを取り戻すのと同時に耐糖能の向上が認められた、戦後70年で日本人の睡眠時間は1時間短縮している、(自覚できないだけに恒常化している)睡眠不足が糖尿病患者が減らない一因ではないか、という主旨です。「深睡眠だけとってりゃ短時間睡眠でもOK、つてわけにはいかないんじゃ!」ということです。

したがって「デルタパワーを回復する洞窟実験!」というのは前捉が誤っています。この点はディレクターに何度も念押ししたのにこの始末(怒

最近業務が立て込んで、重度のむち打ちではないかと思われるほど首が回らない生活をしています。間違いなく耐糖能は低下気味だと思います。このような投稿をしている場合ではないのですが、最後だと思って書きました。

三島和夫拝

三島和夫|2月24日 3:35

「洞窟実験」は、三島氏が書いているように、睡眠不足にかんする実験だったので、「デルタパワー」はこじつけである。しかし、大阪市立大学での治療は、睡眠時間は足りているが、徐波睡眠(=ノンレム睡眠)が極端に少ない糖尿病患者に、徐波睡眠を増やすであろう睡眠薬の投与して、血糖値を下げるものだったので、こじつけではないだろう。

「ガッテン!」が謝罪して終了ってことなんだろうけど、なんか睡眠不足みたいにスッキリしない終り方だな。

2017.03.02 | ├ テレビと映画 | トラックバック(0) | コメント(4) |

「ガッテン!」の冒頭謝罪は見ました。

「眠れない」と「訴える」ことが「不眠症」みたいに扱っていましたよね。

番組は見ていないままですが、きつねさんの整理の仕方で納得!!です。

・・・厚生省と学会の抗議文は、

> 番組で取り上げられた睡眠薬については国
> で承認された効能又は効果は「不眠症」に
> 限定されており、

そもそも「不眠症」なんていう診断名は存在しない。「睡眠障害」と言うべきなのに。

眠れない(かった)と「主観的に」感じていることと睡眠の「質」も無関係。脳波で測定できる形で、ノンレムとレムの両方を周期的に往復するのが理想形。この理想系をとれば、睡眠は短時間でいいわけです。

レム睡眠も身体の休息のためには必要ということになり、夢をよく覚えていることは悪いことではない。

話はここから脱線しますが、実は「悪夢」というものは、よほど精神疾患が深い人以外は有害ではない。「悪夢」というのは実は夢自体に対する前意識や超自我による半ば「自動化」された自己解釈との相互作用の悪循環の中で生じている。

たいていの悪夢はゲシュタルト療法やユングの夢解釈、ボスナックの夢解釈技法を用いれば、新たな気づきが得られ、ポジティブな成長へのきっかけになります。ユング的に言えば、夢の中の登場人物は、実は自分自身に統合されていない「影(同性)」や「アニマ」なんですね。

精神科の現状は、抗うつ薬や統合失調症薬にも催眠作用がありますが、それとは別に睡眠導入剤を処方することはよくやられています。これも実際に昼間の諸症状を鎮める働きがあるからこそです。




2017.03.02 17:26 URL | chitose #BXy/Vbyc [ 編集 ]

悪夢と言えるかどうかわかりませんが、授業をしなければならないのに、準備ができていないという夢は、死ぬほど見ます。それも決まって授業をする必要のない日曜の朝に…。目を醒まして、なんだ日曜かよ!ってことに…。w

あと、会いたい人に会えない夢。HKTメンバーがどんどん出てくるのに、まどちゃんだけは出てこないとか。欅ちゃんの夢は見たことないけど、そのうち軍曹だけいない夢を見るでしょう。w

妹がむかしよく見た夢が傑作で、家の前にロールスロイスが停まっていて、乗り込むんだけど、(湖などにあるスワンみたいに)みんなでペダルを踏んで動かすヤツで、いくら踏んでも前に進まず、焦るって夢。wwwww


夢の解釈も、最近の脳科学では、フロイトやユングとはちがって、海馬に一時的に記憶された情報を大脳皮質に移し替える過程で取捨選択が行われ、目が覚めてからそこで見た情報を意識が編集してこんな夢を見たって思うんだそうです。w

2017.03.02 19:13 URL | 王子のきつね #NVCdQGYY [ 編集 ]

「夢自体」というものがあるわけではないんですよね。それは日常の記憶(メディアを通したものも含む)、スピリチュアルのものを含むいろんな連想、(ユング的に言えばそうしたものを超越した、人類に共通する「元型」的なものを含む)の断片のようなものであるにすぎないわけです。

それをストーリー化して選別するのが、フロイトのいう「二次加工」ということになります。

実は、この「二次加工」のプロセスというのが、その人が日常体験している物事への対処の仕方に縛られている。

そこから「解放された」「脱構築化された」新たな認知の形成のために、様々な夢技法が使われることになります。

2017.03.03 17:57 URL | chitose #BXy/Vbyc [ 編集 ]

記憶と夢の関係にかんする実験があります。脳には記憶を司る海馬があります。海馬には空間に反応する「場所ニューロン」が存在するのだそうです。ネズミをつかった実験が行われました。

このような四角い部屋があって、4隅に①②③④と番号を振ります。

③───②
│      │
│      │
│      │
④───①

海馬に電極をつけたネズミを、この部屋に放し、自由に行動させます。

ネズミが下のように行動したとしましょう。

①→②→③→④→③→②→①

すると、「場所ニューロン」が下のように興奮するのだそうです。

A→B→C→D→C→B→A

そして、ネズミが寝ると、REM睡眠時に、起きているとき行動したのと同じ順番で「場所ニューロン」が興奮するのだそうです。

このことから、ネズミは、寝ているとき、昼間と同じ体験を思い出しているようなのです。ネズミが夢を見ているっていうのもスゴイ話なんですけどね。

2017.03.03 20:56 URL | 王子のきつね #NVCdQGYY [ 編集 ]












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